プラントの地震防災のマネジメント
大規模システムの信頼性
システムは、一般に接点と枝よりなるネットワーク構造をしています。そして、システムを構成する各接点は、それぞれがまた1つのネットワーク構造をしています。
1つのシステムはいくつかのサブシステムより成り、また、より大きなシステムのサブシステムともなっています。機械、コンピュータシステム、通信システム、交通システム、プラント、コンビナート、さらには会社組織、産業構造、社会、国際社会、そして、生物、環境、地球、宇宙にいたるまで、すべてこうした概念で表現することができます。
ネットワークのシステムでは、どこかの接点や枝が故障すると、その故障が次の故障を招いたり、システムとしての機能を果たせなくしたりします。そして、そのシステムが機能を失うと、それが1つのサブシステムとなっているより大きなシステムも、機能を果たすのが困難になります。
システムが複雑化すればするほど潜在的故障要因の数が増え、巨大化すればするほど、また、依存度が大きくなればなるほど、機能喪失時の影響度も大きくなってきます。
プラントは生産・製造機能と保安・防災機能を併せ持つ1つの巨大なシステムです。そして、そのどちらの機能を喪失しても社会に大きな影響を与えます。
プラントの地震災害のリスクは保安・防災システムの耐震信頼性に依存し、その耐震信頼性はプラントオーナーの生涯にわたる安全・健康・環境マネジメント(労働安全衛生マネジメントを含む)と、設計建設時のエンジニアリング会社、メーカー、建設工事会社の品質マネジメントに依存します。そして、各マネジメントを支援するのが地震防災のための法規・指針であり、行政・学会の役割であるといえます。
それぞれのマネジメントの信頼性は、当該マネジメントシステムを構成するいくつかのサブシステムの信頼性に依存し、最終的にはシステム、サブシステムを構成する人の信頼性に依存することになります。人の信頼性を高めるに必要なものは、文化であり、信頼性の高い教育・訓練のシステムであるといえます。