プラントの地震防災のマネジメント
地震時の保安・防災の流れ
プラントが破壊的地震に襲われますと、全設備が振動し、液面は揺動します。埋立地などでは地盤が液状化し、海岸線では津波に襲われることもあります。そして、外部電力や工業用水の供給も停止します。プラントでは、こうした外乱、環境の中にあって、設備と人が一体となって保安・防災活動が進められていきます。
地震が発生しますと、まずは地震に対する構造安全の機能とプロセス安全の機能により、事故を未然に防止します。事故を未然に防止することができず、内容物が漏洩し始めたら、漏洩流出の拡大を阻止します。火災になれば、あるいはその危険性があれば、防消火活動によって災害の拡大を阻止し、可燃性、有毒性のガスが大気中に拡散する事態になれば、居住地区に到達する前に、保安距離をもって危険限界濃度以下に希釈されることを期待します。そして、危険が人命に及ぶと判断されたら、速やかに避難誘導に移ります。
漏洩する物質がガスか液体か、可燃性か有毒性かによって具体的手段は変わってきますし、事故が同時に多発すれば流れは輻輳してきますが、保安・防災の流れは基本的にはこのようなものとなります。流れにはいくつかの局面があって、それらの局面がサブシステムを成し、全体として1つの大きな保安・防災システムを構築しています。(プラントの防災計画と耐震設計>保安・防災システムと地震災害のリスク)
保安・防災の流れ自体は、地震による事故の場合も平時の事故の場合も大きくは変わらないのですが、根本的に異なるのは、保安防災のための設備、システムが同時に地震の影響を受けており、そうした影響下にあって、一連の保安・防災活動を進めていかなければならない点にあります。