プラントの地震防災のマネジメント
プラントとライフライン
都市の機能や市民生活は、電気、ガス、飲料水、ガソリンなどのエネルギー、ユーティリティが安定して供給され、また、交通が順調且つ安全に運行され、電話回線が正常に働くことによって成り立っています。
次の図は、エネルギー、ユーティリティが市民の生活圏に送られてくるまでの一般的な経路を示したものです。生活用品に多用されている石油化学製品(合成樹脂、合成ゴム、合成繊維)についても示しました。
エネルギー、ユーティリティの供給が突然に途絶えますと、都市機能は麻痺し、市民生活は混乱します。このようなことから、これらの供給経路は鉄道・道路、下水道、電話回線などとともに、ライフラインあるいはライフラインシステム(システムとして捉えた場合)と呼ばれています。
ライフラインの地震対策(強度面の耐震設計の他、バックアップシステム、早期復旧対策などを含む)への取り組みが本格的に始まったのは、1971年に米国カリフォルニア州を襲ったサンフェルナンド地震で都市災害を経験してからのことでありました。今では、ライフラインという用語は日本国内でも日常的に使われるようになりました。
エネルギー、ユーティリティを供給するライフラインの上流にはプラントがあります。これらのプラントは大量のエネルギーを保有しているため、地震によって事故を起こすようなことがあれば、供給源としての機能を失うのみならず、大きな災害を招く可能性も秘めています。このため、産官学を挙げて、プラントの地震災害のリスクを軽減するための努力が払われてきています。