プラントの地震防災のマネジメント
耐震設計基準と重要度分類
プラントの耐震設計では、多くの科学、工学が関連してきます。専門性が高く、一企業が独自に標準化を行うことは困難ですから、行政、学会のレベルで耐震性能評価などの標準化が行われます。設計地震動については、災害防止の社会的責任と安定供給の社会的役割の視点から行政の判断が加えられることになります。一般には、設備毎に重要度を評価し、その重要度に応じて設計地震動を決定する方法、考え方が採用されています。
ここでいう重要度とは災害防止の観点から見た重要度のことであって、地震で損傷した場合の影響度が大きいと予想されるものほど、重要度が高くなります。重要度に応じて個々の設備をいくつかの重要度クラスに分類することを、一般に重要度分類と呼んでいます。
重要度の評価では災害想定を行うことが基本ですが、高圧ガス設備を対象とした耐震設計基準(高圧ガス設備等耐震設計基準)では簡便化が図られていて、高圧ガスの種類、貯蔵量、敷地境界線までの距離の3要素から当該設備の重要度を決定するようになっています。同基準は公衆災害の防止を第一義的に考えていますので、敷地境界線までの距離が長い場合には、貯蔵量が大きくても重要度が低いと感じられることがあります。このような場合には、従業員の安全や経営への影響を考え、企業の判断で重要度を高くしたり、設計地震動を大きくしたりすればよいことになります。