プラントの地震防災のマネジメント
設計地震動の大きさ
防災計画を立てるとき、耐震設計用にどんな大きさの地震を想定するかが1つの課題となります。
プラントオーナーにとって最適な設計地震動(大きさのほか、周期特性などの意味も含む)は、耐震設計などの地震対策のコストと地震災害による損害額の期待値との和が最小になるような大きさのものだと考えることができます。ここで地震災害による損害額の期待値とは、地震災害の発生確率に地震災害による損害額を乗じたものをいい、地震災害のリスク(プラントの地震防災のマネジメント>プラントの地震災害のリスク)をコストで表したものとなります。
しかし、この概念に沿って最適な設計地震動を求めようとしますと、シミュレーションの範囲が自然科学から社会科学にまで及び、多くの困難に直面します。人命をコストに置き換えることには抵抗も感じます。
現実的には、実際に起こりうる災害の規模、影響度を認識した上で、社会的視点と企業経営の視点に立ち、どのくらいの発生確率の地震であったら社会的に許されるか、あるいは企業として諦めがつくかを考え、その大きさを決めることになります。法規に設計地震動が定められていれば、最低限度の義務事項として、また、社会的視点に立ったときの客観的見方として、企業のリスクマネジメントの考え方の中にとり入れていくことになります。