配管系の耐震設計
配管系の地震に対する弱点
■プラントの配管系の構造
● 配管系の構造
石油精製・石油化学プラント(以下、プラントという)には、様々な構造をした設備、構造物がみられます。配管も、それら支持構造物の構造とプロセス上の要求に応じ、様々な構造をしています。
個々の配管系は、直管、フィッティング(エルボ、ティー、レデューサー等)、弁、継手(フランジ継手、溶接継手等)、伸縮管、サポート、ノズルなどから構成され、1つの構造システムを成しています。支持構造物を含めて配管系ということもあります。
■配管系の地震による影響
● 慣性力、相対変位、地盤変状による影響
プラントが地震に襲われますと、配管は支持構造物とともに揺れ、自らの慣性力で内部に応力、歪を発生し、支持点には反力を与えます。また、異なる支持構造物間を渡る配管は、支持構造物の応答変位に基づく支持点間の相対変位の影響を受け、同様にして内部に応力、歪を発生し、支持点(ノズル、サポート)には反力を与えます。地盤が液状化し、地盤変状(地盤の移動、地盤定数の低下)が起きた場合には、基礎の移動(沈下、傾斜、水平移動)に基づく支持点間の相対変位の影響も受けます。こうした影響を受けても、漏洩事故を起こしたりすることがないようにするのが、配管系の耐震設計です。
● 配管の揺れ・滑動の影響
大口径の配管が大きく揺れますと、内部に発生する応力は小さくても、小口径の分岐管に相対変位を与えたり、隣接する弱小構造物に衝突して相対変位を与えたりします。ラック上を滑動したり、大きな揺れで吊下式サポートを壊したりして落下すれば、配管自身のみならず、直下の弱小構造物にも影響を与えます。こうした損傷の発生要因を作らないように配管系の構造を決めるのも、配管系の耐震設計のうちです。
● 構造物の倒壊、物の落下などの影響
支持構造物が倒壊したり、アンカーボルトが切れるなどして滑動したり、隣接構造物が大きく揺れ、あるいは滑動して衝突してきたり、倒壊したり、上方から物が落ちてきたりすれば、その影響も受けることになります。配管系の耐震設計では、支持構造物、周辺構造物や、それらの積載物の耐震設計との調和を図ることも必要となります。